億を稼ぐ人の話し方 試し読み

はじめに

話し方が変われば、人生も、収入も変わる

私は学生時代も、社会人になってからも、いわゆるコミュニケーション能力に自信がない人間でした。

初対面の人と、どんな話題を、どう話せばいいんだろう?

会話で気まずい雰囲気になるのは、私がいけないんだろうか? それとも、相手が悪いんだろうか?

つい、こんなことを考えてしまうのです。内向的で、消極的な自分自身のことも好きになれませんでした。社交的で、積極的な人に憧れました。可能であれば、自分のキャラクターを変えたいと思っていました。

なぜそうなりたかったのか。要するに私は、モテたかったのです。「お金持ちになりたい」という欲求も持っていましたが、これも動機は同じでした。私はまったくモテない人間でした。だからお金持ちになったり、社交的な人間になることで、「モテたい」と、ずっと思っていたのです。

真似することからすべてが始まる

そんな私が変わったのは、24歳のときに人生のメンターと出会ってからです。

メンターに教わったのは「まずは真似ぶ」ということでした。

社交的で、積極的な人たちを研究して、彼らの行動パターンを真似する。私はまず、メンターのコミュニケーションの仕方や所作を真似しました。

最初のうちは照れくさかったり、勇気もいりました。 いきなりキャラクターを変えたことにより、周りの人にからかわれたり、「下心があるんじゃないか?」と疑われたこともありました(実際に下心はありましたが……)。

でも、外野の声を気にせず、ずっとその態度を続けていると、いつしかそれが「自分のキャラクター」になっていきました。新しく知り合った人は、私のことを「社交的で積極的な人」だと思って接してくれます。そこからまた新しいお付き合いが始まりました。

いまもっとも必要とされている力とはなにか

私はいま、いくつかの会社、飲食店、小売店を経営し、社員、アルバイトの方を含め、100名近くの人を雇い、チームを組んで仕事をしています。 コンサルの仕事や人材育成の仕事もたいへん順調で、39歳のころから、そうした事業年収がトータルで億規模になるようになりました。

そんな私が、いまのこの時代で成功を勝ち取るためにもっとも必要な能力はなにかといえば、人間関係を構築する能力、コミュニケーション能力だと考えています。コミュニケーションとは言葉のやり取りであり、つまり、話し方、聞き方、ということになります。

人生の悩みや苦悩のほとんどは「人間関係」だといわれます。人生において、人間関係を良好にする能力、コミュニケーション能力、チームビルディング能力は、幸せな人生のためには、必須の能力だといえます。

これらの能力を高めていけば、家族との関係、友だち関係、仕事仲間との関係、すべてが良くなります。つまり、「人間関係」という、人生の悩みや苦悩のほとんどが解決し、幸せになれるのです。

メンターの教えと、科学的エビデンス

本書は、私がメンターから教わったコミュニケーションで大切な心構え、方法、テクニックに心理学や脳科学、あるいは行動経済学などの客観的なエビデンスを加え、まとめたものです。

自分を変えるため、人生を良くするためにこれらの能力を高め、家族、友だち、恋人、仕事仲間との関係を良好にし、たくさんの仲間をつくり、チームとして機能し、共に笑い、共に感動し、共に目指し、共に勝ち、共に夢を叶えたい、とい

う人の力になるためにこの本を書きました。

「自分を変えたい」

「コミュニケーション能力を高めたい」

「家族との関係を良くしたい」

「友だちとの関係を良くしたい」

「仕事仲間との関係を良くしたい」

「チームビルディングをしていきたい」

「モテたい!」

「人生をもっと良くしたい」

「もっとお金も時間も仲間も豊かな人生を送りたい」

もしもあなたがこういった悩みを抱えているなら、本書をお読みください。本書の内容は、仕事にも役に立ちますが、プライベートでも大いに役に立つ内容です。

私の考えを教えた何人もの人が、本書の内容を実践し、いままでモテなかった人がモテるようになり、友だちが少なかった人が、たくさんの友だちに恵まれ、たくさんの仲間とチームを組んで仕事をするようになり、物心両面で豊かな人生を送っています。

あなたを変化させる扉は、日常生活のいたるところにあります。その扉を1つ1つ開けるたびに、新しいあなたとの出会いがあります。

人と人とのコミュニケーションは奥が深く、私もまだまだ勉強中の身です。この本の内容を共に実践し、共にコミュニケーションの道を極めていきましょう。

第1章 人との出会いが人生を変える

01 人生のバランスシートをマックスにしよう!

人生を豊かにするには「法則」があります。それは

・収入

・時間

・仲間

・健康

この4つをバランス良く持っていることです。豊かになるとは、これら4つをバランス良く増やしていくことなのです。

多くの人は「収入」面ばかりに注目し、その他3つをないがしろにしがちです。収入を増やすだけでは、人生を豊かにすることはできません。収入が多くても、遊ぶ時間も友だちもおらず、体調がいつも悪い人は、豊かではないのです。

人生の満足度を図で表すと……

では、具体的に人生のバランスがライフステージによってどのように変化していくことが多いのか、レーダーチャートで見てみましょう。

次のページの図を見てください。上の図は、学校を卒業して社会に出たて、社会人1年目で会社員の人だと仮定します。

ライフバランスは取れています。でも、全体的にどれも少ない状態です。

まだ給料も少ないし、仕事に時間がかかるから残業したり、家に帰っても作業することがあって、時間もたくさんあるとはいえません。

社会に出たばかりですから、人脈といっても学生時代の友だちが多く、交友関係は広いとはいえません。

億を稼ぐ人の考え方著者、中野祐治の億を稼ぐ人の話し方試し読み

健康は人によりますが、社会に出たばかりで、いろいろストレスフルなことも多いでしょう。そんなイメージです。

ずっとこのままでは嫌だと思い、独立して小さな会社を興したとしましょう。その会社の経営者になったときのライフバランスが前ページの下です。

社長になり、社会人1年目より収入も仲間も増えましたね! こういう人は多くいます。私も実際にこういう経営者の方には何人も会ったことがあります。

ですがこの図のような生き方だと、

「お金はまあまあ持ってるし人脈もある程度増えた。でも時間がないし、仕事のしすぎで体も疲れているから、結局なにもできずお金は無駄な消費や浪費に流れてしまう… ゆっくり休みをとって旅行にでも行けたらな・・・・・・」

と感じるようになりがちです。時間と健康がないので、ある程度手に入れた収入や仲間を活かすことができない状態になるのです。

これは社会人1年目よりは豊かに生きていけそうですが、ライフバランスは偏ってしまっています。

そこであなたはこんなことを思います。

「収入も時間も仲間も健康も、バランス良く欲しいな・・・」(下の図のように)

ではこの図のようなライフスタイルとはどんな仕事をして、どんな生き方をすればいいのでしょうか。

億を稼ぐ人の考え方著者、中野祐治の億を稼ぐ人の話し方試し読み

ちなみに、この図を文章で説明するならば、「好きなときに好きな人と好きな場所に行ける」というイメージです。

どうすれば「時間」と「健康」が手に入るのか

収入や人脈を増やすのに手っ取り早い方法が「会社を設立すること」なのであれば、時間と健康を手にする方法とはなにか。それは「自分がいてもいなくても収入が入ってくる仕組み」を構築する以外にありません。

そこで改めて考えて欲しいのが「副業からスタートして、ビジネスオーナーを目指す」という選択肢です。 まずは会社員をしながら副業としてサイドビジネスを構築し、それを軌道に乗せる方法です。

私がこのやり方をおすすめするのは、人生のバランスシートにおいて、特に「仲間」が大事だと思っているからです。 「人脈」と「仲間」はちがいます。

たしかに、思い切って起業し、プライベートをすべて犠牲にして死にものぐるいでがんばれば、より早く「お金」は手に入るかもしれません。でも、それでは人生は豊かになりません。仲間がいないと寂しいのです。

私たちが人生を真に豊かにするには、人間関係を良好にする能力、コミュニケーション能力、チームビルディング能力を高めていくことが必須です。それらの能力を身につけ、ビジネスオーナーになっていく過程で、戦友がたくさんでき、ストレスもそんなにないので健康になり、結果として、レーダーチャートの4つの要素をバランス良く伸ばせるのです。

02 自分の現状を把握しよう

まずは、あなたがいままでどのように人とつながり、人と接し、人に興味を持ち、人のことを理解してきたかを振り返ってみましょう。

あなたのスマホの電話帳に、何人の友だちがいますか?

あなたのスマホのラインに何人の友だちがいますか?

友だちの数には仕事関係の方も入れても大丈夫です。次に、友だちのことをどこまで大事にして、理解しているかをチェックしましょう。いままでの友だちのことを細かく思い出してみましょう。

名前、誕生日、あなたとの関係

家族(Family)

仕事(Occupation)

趣味 (Recreation)

お金に対する価値観 (Money)

夢や目標 (Dream)

あなたは相手のことをどこまで理解していますか?

相手に興味を持っているなら、このFORMDがすべて埋まるはずです。

昔、これをやってみて、私は愕然としました。自分に友だちがほんどいなかったのと、友だちに関してもFORMDがまったくわからなかったのです。

「普通は年齢×10人くらいはこのことが書けないとね!」

「書けないのは、人に興味がないということだね。中野くんは自己中心的だね。人に興味がないんだね」

こうメンターに言われ、グサッと胸を刺された感じがしました。でも、その通りでした。私はまったく人に興味を持とうとしてこなかったのです。当時の私と同じように、自分には友だちが思った以上にいないこと、そして友だちのことを知らなかったことにショックを受けた人もいるかもしれません。

ご安心ください。私は当時、メンターから次のように言われました。

「でも大丈夫だよ。人はだれもが自分が大好きだからね。ただ、これから出会う人はちゃんと大事にしていこう!」

人は基本的に自分が大好きで、自分にしか興味がないものなのです。だから、友だちのFORMDを知らないのは、普通のことなのです。

でも、あなたがもっと高みに行きたいと考えているなら、まずは「相手に興味を持つ」というところから始める必要があります。

03 人と出会おう!

私のメンターは、次のように言いました。

「中野くん、まずはたくさんの友だちをつくろう!仕事の関係者やお客様も、みんな友だちだと思うんだ、というか友だちになるんだ。友だちの多さは人間的成長の証だと思ったらいいよ。子どものときは学校で先生が通信簿をつけてくれて、成長を測ることができる。

大人になってからの成長を測る通信簿は、得ている収入と応援してくれる友だちの多さだよ」

子どものころは学校で、自然と出会い、仲良くなり、友だちができます。クラス替えや、進学することで、自然と新しい出会いもできるでしょう。しかし、大人になると、自ら出会いの場に行かなければ、新しい出会いは生まれないのです。

私は内向的だったので、会社員時代、社内の人と友だちになろうとは、あまり考えていませんでした。仕事が忙しく、会社と家の往復で、昔からの友だちとも疎遠になり、出会いの場所にも行かないので、新しい友だちもできませんでした。

新しい人と出会う2つのパターン

そこで私が始めたのは、メンターのアドバイス通り、まずは職場の人と仲良くすることです。相手のことを理解し、友だちになるように努力しました。

しかし、残念ながら、職場では、大人しくて、無口で、消極的なキャラが浸透していましたから、なかなかそのイメージを払拭することができませんでした。

そこで、私は新しい出会いの場所に行こうと決心しました。

出会いのパターンには大きく分けて2つあります。

①「0から1

街中で声をかけたり、ナンパしたり、イベント、交流会などに出かけてそこで出会う人に声をかけて仲良くなっていくケース。これは度胸がつきます。

さらに、いまはSNSでの出会いなんかも普通になっていますね。

②「1プラスα

自分で飲み会や合コン、イベントなどを企画し、主催するケースです。 友だちの友だちがあなたの魅力に集まってくるようにトレーニングできます。自分でイベントなどを企画し主催すると集客力をつけるトレーニングにもなります。

これはどちらが正しいというものではありません。いろいろと試してみて、あなたなりの勝ちパターンを早く見つけてみてください。

出会いが増えれば、思わぬ出会いが生まれる

新しい出会いは楽しいです。いろんな人と出会えます。そして、あなたの出会う人を見れば、あなたの成長の度合いがわかります。私も、友だちがたくさん増え、事業が拡大し、収入が上がっていくにつれ、出会う人の幅も広がりました。

最近では、子どもの学校のお父さんつながりで、世界的に有名なマジシャンの方と友だちになりました。マジックショーに招待していただき、

マジックショーが終わったあと、一部の人だけが残って、少人数でマジックを見せていただいたり、一緒に写真を撮っていただきました。一緒にスノーボードにも行きました。

あなたもたくさんの人と出会い、成長するほど、いろんな人に出会えますよ。

どのくらいの数の「友だち」を目標にするか

出会いの場所に行くときには、「こういう人と出会いたいな」とイメージしながら行ってください。たとえば、次のような感じです。

①自己成長を求めている人がいいな

②価値観の合う人がいいな

③素直な人がいいな

④努力家な人がいいな

⑤笑いの沸点が低い人がいいな

あなたなりの理想像を思い描きながら出会いの場所に行くと、そういった人に出会えます。

また、次のことを覚えておきましょう。

毎月、月初に友だちとの関係の現状把握をする。

連絡がなかなか返ってこない人は、友だちとは言いにくい。

新しいところに行って母数をつくる。

追いかけると人は逃げる! ビジョンを追いかけると人がついてくる。

手始めとして、「毎月最低でも30人の友だちをつくる」ということを目安にしてみましょう。

難しい、無理だ、と思うかもしれませんね。でも、たとえば、異業種交流会などに行けば、一度で15人くらいは名刺交換ができます。2回行けば30人です。 プライベートで街コンなどのイベントも同じです。

そんなに難しくないと思います。もちろんそれ以上つくってもOKです。

たとえ新しい人に出会っても、連絡もせずに放置して、「ただ連絡先を知っているだけ」の人は、友だちではありません。出会ってから、相手のことを知る努力をし、人間関係を深めていきましょう。

03 合コンと思うな、人生と思え!

私の場合、出会いの勝ちパターンは合コンでした。ナンパも、イベントでの声かけもし、異業種交流会も行きました。ただ、いろいろ試した上で、合コンが一番しっくりきたのです。

ちなみにコンパとは、仲間と親睦を深めるために行う飲み会のことで、英語のカンパニー (company) に由来すると言われています。そのため、男性だけ、女性だけでもコンパです。 新歓コンパや追い出しコンパ (追いコン)などは同性だけでもしますよね。男女合同でするコンパを、合コン(合同コンパ)と言います。

合コンはいろいろな力が身につきます。

[1]参加人数に応じて、何時にどこの場所でやるなどを考える(企画力)

[2]女性幹事を見つける(探客力)

[3]女性幹事に女性メンバーを集めてもらうように依頼する (交渉力)

[4]男性メンバーを集める(探客力)

[5] 合コンに適したお店を探し、予約する (段取り力)

[6]参加メンバーに開催日時と待ち合わせ場所を伝達する(伝達力)

[7] 相手が日時や場所を間違わないよう、事前に確認する(確認力)

[8]当日、みんながお店に行けるように案内する(気遣い力)

[9]お店でどのように席につくかを仕切る(仕切りカ)

[10]ドリンクや食事の注文を促す (段取り力)

[11]乾杯のドリンクが来るまでその場の会話を回す(会話力)

[12]乾杯後、お互いを知るための自己紹介を促す(仕切り力)

[13] みんなが会話をしながら楽しめているかを気遣う(気遣い力)

[14] みんなが仲良くなれるように、席替えなどをして、話していない人がいないようにする (段取り力)

[15]会が終わってから、酔っ払っている人が無事に駅に行けるように連れて行ってあげる(仕切り力)

[16] 解散後に、女性幹事や参加メンバーにお礼の連絡をする(気遣い力)

合コンは一種の「リトマス試験紙」になる

合コンをすると、新しい出会いもたくさんできます。さまざまな業種の方と出会えます。新しい出会いの提供もできます。

じつは、私も合コンで妻と出会いました。妻と出会った合コンの日は2001年9月10日でした。アメリカの9・11同時多発テロの前日です。

大阪はその日、台風が接近していて、すごい雨風でした。でも、電車は止まっていなかったので、だいぶ前から予定していた合コンを開催したのです。

悪天候にもかかわらず、全員来てくれました。

合コンはある意味人間リトマス試験紙です。合コンへの参加姿勢、立居振る舞いで、その人の人間性が見えてきます。その台風の日の合コンメンバーはいい人ばかりでした。「約束したから、ちゃんと行こう」という律儀な人間性がわかります。

お店は私たちだけの貸切状態でした。みんなが合コンを楽しんでくれ、帰りもすごい雨風でしたが、文句も言わずに、みんな私に感謝の言葉を述べてくれて帰って行きました。

本当にいい人ばかりの合コンでした。そのなかに妻がいて、仲良くなり、お付き合いをし、結婚に至ったのです。

合コンには運命の出会いもあるのです! 合コンと思うな人生と思え!!!

第2章 初対面でも臆さない話し方のコツ

05「第一声」を準備しよう

街中や合コンやイベントや異業種交流会などで出会った初対面の人と、どうやって仲良くなっていけばいいのでしょうか?

私は話術に長けているわけでもなく、普段からネタを豊富に持ち合わせているわけでもありません。流暢に話せる人を見て、「うらやましいな・・・・・あんな風に話せたらいいのにな

・・・・・」と思っていた側の人間です。

「初対面で仲良くなるなんて、自分には絶対に無理・・・・・・」

「そもそも緊張して、なにを話したらいいかわからない……」

「できる人の真似をしたって、空回りするだけ……………」

「相手から話しかけてくれないかな」

「会話をリードしてくれないかな」

などと思っている人間でした。

あなたの悩みは、相手も持っている

ただ、その悩みに対してメンターから、次のようなことを言われました。

「中野くん、君が初対面の人となにを話したらいいかわからないと思っているのと同様に、相手もそう思っているんだよ。ビジネスでもプライベートでも、まずは相手に与えるんだ。最初の一言を自分から与えるんだよ。

そうすれば、相手は喜んでくれるよ。だって、中野くんは話しかけられたら嬉しいだろ? 自分が嬉しいと思うことを、まずは自分が人にしてあげるんだ」

少しだけ勇気を持って、自分から話しかけるのです。合コンであれば、「幹事とはどういうつながりなんですか?」とか、イベントであれば、「こういったイベントにはよく来られるんですか?」など、たわいもない会話からで大丈夫です。

第一声を準備しておこう

いろんな場面で、第一声として話しかける言葉を用意しておきましょう。 その第一声に相手の答えが返ってきますから、その答えに対する答えまで準備しておくといいですね。たとえば、合コンであれば、

あなた 「幹事さんとはどういうつながりなんですか?」

相手「会社の同僚なんです」

あなた 「そうなんですね、私は大学つながりなんです。どういったお仕事されてるんですか?」

イベントであれば、

あなた「こういったイベントにはよく来られるんですか?」

相手「初めてなんです」

あなた 「私も初めてなんですよ。 なぜ来ようと思われたんですか?」

といった感じです。 第一声に対する答えを何パターンか想定し、そのパターンごとに返答を準備しておくといいですね。

文末に「?」がつく質問で話をしていくと、会話が続きやすくなります。

会話が盛り上がらなくても、「会話がひとまず終了した」というだけで、別にあなたの価値が下がったわけではありません。気にする必要はないのです。

初対面でだれとでも仲良くなれる人は、決して「仲良くなってくれるのを待っている」受け身な人ではありません。ほんの少しの勇気で自分から語りかけ、相手に与えることができる人なのです。

06 リアクションを欧米化する

「与えなさい。そうすれば、自分も与えられます」

世界一のベストセラーである聖書に書いてある言葉です。

また、経営の神様といわれる松下幸之助さんは、

「世の中に与えた10分の1のものが、自分に利益として返ってくる」

と言ったそうです。

「自分はなにも得られてないぞ!」という人は、いまの10倍のことを世の中に与えることを考える必要があるかもしれない、ということです。人生において、 商売において、「与えたら与えられる」ということは原理原則です。

この原理原則は言葉でも同じです。あなたは普段の会話で、相手がポジティブな気持ちになるような言葉を、どれだけ与えていますか?

「その業界のお話は初めて聞きました。おもしろくて興味がわきます!」

「そうなんですね~!とても勉強になります!」

「へえ~、すごいお仕事をされてるんですね!」

ポジティブな言葉の威力は絶大です。あなたもこのような言葉を言われたら、嬉しいですよね。言ってくれた人に対しても、「自分に興味を持ってくれているな」「自分に好感や尊敬の念をもってくれているな」と思いますよね。

リアクションだけで「与える」ことができる

さらに仲良くなるには、自分自身のリアクションを欧米化してみましょう。アクションで「与える」のです。

「『Love is action!』 『思いは行為!』なんだ。

思っていても行為にしなければ伝わらないだろう? 電車のなかでご老人が立っていて、中野くんが心のなかで席を譲ってあげようと思っても、実際に声をかけて、席を譲らなければ、その行為がなければ思っていないのと同じなんだよ。そして、「Love is reaction!』 なんだ。相手が話しているときに聞き手側が相づちを打ったり、うなずいたり、反応することは、『私はあなたの話を聞いていますよ」という意思表示だし、愛情表現なんだよ」

私たち日本人から見た欧米人のイメージに、次のようなものがあるでしょう。

・声が張っている

・リアクションが大げさで明快

・表情が過剰に豊か

よく海外の観光地やバーにいる欧米人は、おおげさでテンションが高いですよね! 日本人とは対象的です。自分も欧米人になったように振舞ってみてください。初めは恥ずかしいかもしれませんが、勇気を持ってやってみてください。

欧米化するときの大事な点は、「気遣い」と「踏み込み」が強いコントラストかつ高いバランスを保っていることです。これらができていれば、だいぶ良好にコミュニケーションが進みます。

最初から高すぎるテンションでいってはいけない

ただ、相手とのエネルギーの差がありすぎると、相手を焦がしてしまいます。こちらのエネルギーが、相手のエネルギーの1・2倍くらいのエネルギーからスタートする感じです。相手を温めてあげながら、こちらのエネルギーをだんだんと上げていき、相手も一緒にエネルギーが上がっていくというイメージです。

また、万一、エネルギー差がありすぎて、場がしらけた際を想定して対処方法を考えておきましょう。いわばリスクヘッジの観点ですね。

場がしらけたことを前提にして笑いを取る流れをつくれば、失敗がチャンスと

なります。たとえば、次のような感じです。

テンションの高さに相手が引いているとき

→「すみませ~ん、私、興奮するとテンション上がりまくってしまうんで

す!」:自分にツッコミ

→「すみませ〜ん、完全に下心が裏目に出ちゃいました」:下心をカミング

アウトして逆に下心っぽくなくさせる

07初対面の気まずさを解消する方法

こちらから挨拶をしたり、話しかけたり、ポジティブな言葉を与えても、リアクションを欧米化しても、相手があまり反応してくれないことが、残念ながらあります。たとえば、せっかく話しかけたのに次のような会話になってしまい、気まずくなってしまった経験、あなたにもあるのではないでしょうか。

「Aさんは、お仕事はなにをされてるんですか?」

「しがないサラリーマンですよ」

「・・・・・」

「Aさんの職場の近くに美味しいお店があるんで、今度ランチでも行きませんか?」

「今月はずっと忙しくて・・・・・・」

「・・・・・」

たしかにこうした沈黙は気まずいです。しかし、それだけで「だから初対面で自分から話しかけるのは嫌なんだ…」と思ってしまうのはもったいないです。

仮に悪い反応が返ってきたとしても、そこから学べることがたくさんあります。

たとえば、相手の反応が悪かった原因が自分にあることも考えられます。

「声が聞こえにくかった」

「笑顔がなくて硬い印象を与えてしまった」

「相手が別のことに集中していて、タイミングが良くなかった」

「聞かれたくない話題だった」

こういった理由が考えられます。原因が相手にある場合も、

「緊張していてどう反応していいかわからなかった」

「あなたがどんな人かわからずに警戒していた」

「そもそも話す気がなかった」

というように、 さまざまなパターンが考えられます。

相手の反応が良くないと、つい自分を責めてしまい、「自分に魅力がないから…….」などと感じてしまう人もいます。でも、相手があなたにまったく関心がなく、話したくもないと思っている可能性はすごく低いものです。

相手が乗ってこないなら、話題を変えてみる

人には必ず「話したいこと」 「聞いて欲しいこと」があります。さきほどの例でいえば、Aさんは仕事の話をしたくないのかもしれません。逆に、「私はテニスが趣味なんですが、Aさんはなにかされていますか?」などと聞くと、「待ってました!」とばかりにAさんが饒舌になるかもしれません。

大切なのは、「どんなときに、相手がどんな反応をしたか」を把握すること。

「反応が悪い=話したくない、もしくは、話せない」のかもしれません。これを知っておくだけでも、初対面特有の気まずさ、沈黙が気にならなくなります。

08 相手との共通点を見つける

コミュニケーションの上手い人、仕事ができる人は「相手との共通点を見つけるのが上手い人」です。

だれでも、初対面の人と話すときは多少なりとも緊張します。しかし、目の前の相手となにかしらの共通点があると、急に親近感がわいて、不思議と打ち解けられます。心の扉が少しずつ開いていく感覚です。

コミュニケーションの上手い人、仕事ができる人はこれを活かします。

共通点で思いつくのは、年齢や血液型、生まれた月、星座、子どもがいるかいないか、出身地、出身校、業界や会社のつながり、共通の知人、愛用しているブランド、よく行くエリアなどでしょう。ただ、そもそもそれらが「共通しているかどうかを探るための会話が必要」という本末転倒な状態になることもあります。

目に見えるところから「ワンペア」を合わせていく

初対面の方と会話をするのは、感覚的にはトランプのペア合わせをするようなものです。こちらのカードと相手のカードの数字や絵札を合わせていくのです。最初は相手の手持ちのカードはほとんどわかりません。しかし、目に見えて同じペアに合わせることができるカードが必ずあります。まずは、目に見えてわかるところからペア合わせをしていくのです。

たとえば、自分が「iPhoneユーザー」というカードを持っていて、相手もiPhoneを使っているとわかれば、「やっぱりiPhoneは便利ですよね」というカードを出します。すぐにワンペア成立です。

あるいは、相手の時計がおしゃれだなと思ったら、

「おしゃれな時計ですね、私もそんなデザインの時計欲しかったんですよ。どこのブランドなんですか?」

というカードも合わせることができます。時計に限らず、服、靴、メガネ、アクセサリーなどにも応用できます。

持ち物で共通項が見つからない場合は?

万が一、そんなネタも見つからない場合は、相手との「共感覚」を活用しましょう。具体的には、「あなたと相手が同じように感じているであろうこと」を口に出すことで、相手と同じ気持ちを共有し心理的な壁を取り払うのです。

たとえば、夏の暑い日に、待ち合わせの場所が冷房の効いた建物内であれば、「いやあ、炎天下からこんなお店に入ると涼しくて気持ちいいですね」というカードを出せます。目に見えてわかるところからペア合わせをしていきながら、今度は質問で探りながらカードを合わせていいくのです。

あなた:「出身はどちらなんですか?」 とまずはこちらからカードを出します。

相手: 「大阪ですよ」

あなた:「私も大阪なんです~!」

このペアが合いましたね。

あなた:「スポーツとかやってはったんですか?」

相手:「スポーツはあまりやってこなかったんですよ」

このカードはマッチしませんでした。

これはもちろん、相手からカードを出してきた場合も同様です。

相手:「大阪のどちら出身ですか?」

あなた:「大阪市内です」

相手:「私もです。高校はどこですか?」

あなた : 「◯◯高校です。」

相手:「え!?!?! 何年生まれですか?」

あなた:「〇〇年の8月です」

相手:「え?!?!?! だったら私の姉と同級生ですよ!」

あなた:「え~!!!◯◯ちゃんの妹さんなんや~!!!」

と、こんな具合にビッグカードがマッチして、一気に距離が縮まる、なんてこともあるかもしれません。

人間関係の「ペア合わせ」は、本当に人と人とを近い存在にしてくれます。

第3章 相手との距離を近づける極意

09「イメージ」の力を活用する

人とコミュニケーションをとるなかで、 「ラポール」という状態は大事です。「ラポール」は心理学の用語で、主にセラピストとクライエントの相互の信頼関係のことです。フランス語で「橋を架ける」という意味から、心が通じ合い、互いに信頼しあい、相手を受け入れていることを表します。

クライエントはカウンセラーとの間にラポールが形成されなければ、悩みを吐き出すことはできません。 同じように、親子関係でもラポールの形成がなければ、親の言うことは子どもに届きません。

ビジネスでも同じで、上司と部下の関係、顧客との関係、あるいはコーチングの関係でも、ラポールの形成はとても重要です。

「ラポール=マブダチ」な状態

ラポールを簡単に言うと、「マブダチ」な状態と私は思っています。

「マブダチ」な状態とは、

①自分のすべてをさらけ出すことができて、

②相手のことはなんでも知っていて、

③つねに一緒に時間をすごし、苦楽を共にし、

④相手の悪い部分を受け入れることができ、

⑤家族のようなかけがえのない存在で、

⑥どれだけ親しくても礼儀は守り、

⑦お互いに尊敬している部分があり、

⑧異性であっても恋愛関係にはならず、

⑨なにが起きても相手を見捨てることはしない

という状態です。コミュニケーションのゴールは、ここだと思っています。 私は初対面でも、1時間くらい話せば、もう「マブダチ」だと勝手に思っています。

イメージを活用して、相手との距離を近づける

なぜ1時間くらい話しただけでそう思えるのか? 私は人と話しているときに、自分の肩から、見えない手が架け橋のような形で相手の両肩にかかって、相手を包み込んでハグしているというようなイメージを持つようにしています。

あくまでイメージですが、ハグするくらい仲がいいので、「潜在意識」は、これはもう「マブダチ」だと思い込んでしまうのです。

人によっては、自分のオーラがほわーっと、自分の背中や頭から出て、相手の全体を、羽衣みたいに包み込むという形でラポールを取る方もいます。

基本的には、どんな形でもいいので、相手とエネルギーでつながっているといイメージを持ちます。

相手の心が開くと、温かさが自分に返ってくる、もしくは一体感が出るみたいなことであれば、どのような方法でも良いのでイメージしやすい方法で実践してみてください。

「新友」から「信友」「心友」へ

カウンターで横に座っている場合などは、見えない手で肩を組んでいる状態をイメージしてもいいでしょう。

自分の背中や首、頭のあたりから温かいオーラが出て、それが、横にいる相手を包み込んで、2人が1つのオーラのなかで一体になって温かさを感じるというようなイメージもいいです。

これは、どんな場面でも使えて、とても有効的な方法です。ぜひ、試してみてください。「新友」が「親友」になり、「信友」となり、「心友」になるでしょう。

10 ホームとアウェイを上手く使う

スポーツの試合などでは、ホームは自分チームの本拠地、アウェイは相手チームの本拠地をいい、敵地を意味します。

通常、スポーツの試合においてホームスタジアムにおける試合はチームにとって有利といわれます。このことから、場違いな状況や不慣れな場所で味わう孤独感を「アウェイ感」と言ったりしますよね。

これは人と会ってコミュニケーションを取るときも同じです。いつも使うオフィスやカフェなど、あなたにとってホーム感のある場所や空間でコミュニケーションを取ると、緊張もほぐれやすく、良好なコミュニケーションが取れるのです。

私はビジネスを立ち上げたころ、人と会うときは、大阪では、梅田の丸ビル1階にあるスターバックスかヒルトンホテルのロビー、東京では新宿南口の近くにあるスターバックスか、パークハイアット4階のピークラウンジをいつも使い、自分のホームにしていました。

初めて使うときはアウェイ感がありましたが、何度も使うなかでホームにしていきました。やはり慣れ親しんだホームだと力が発揮しやすいのです。